05.05.01:18
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04.28.05:07
我武者羅。
この国に来て一番嬉しいと思う事。
それは私と出会ったこの国の人達から、
貴方を通じて日本を知り、日本に対する印象が変わったと、
言われた時。
野菜市場の夫婦は、
私が彼らの所で野菜を買い、
毎回買い物が終わってからも立ち去らずに、
野菜の名前を何度も尋ね、
メモを取りながら繰り返し発音の練習をし、
その果てには調理法まで尋ねてくる私を、
当然ながら面倒な奴に引っかかった的な反応を隠さなかった。
最初は韓国人と勘違いをしており、
日本人と分かるとあからさまに態度が硬化した。
’何で金持ってる日本人が俺たちの所で買い物していくんだ。’
と目も合わさずに呟いた旦那さん。
きっかけは分からない。
彼らの所に通いはじめて一年を過ぎたあたりから、
野菜の値段が急に下がった。
店先に並んでるトマトを選んでいる私に、
無口な旦那さんが手でそれを制止し、
裏から朝捥いだばかりの新鮮なトマトを渡してくれた。
帰り際に奥さんがニカっと歯を見せて笑いながら、
袋に買っていない野菜をただで足してくれるようになった。
子供を進学させるだけのお金が無いと、
夫婦はどこか寂しげに、
でも何故か迷いの無いさっぱりした口調で私に言った。
あんたはうちの子供の分も頑張りなさい。
そう言われたのは3日前。
帰り道、ずっしりと重い野菜の袋を提げて歩いているうちに、
泣きそうになった。
なんだか無性に、
大声で泣きたくなった。
撮影で行った山西省の村で出会った子供達の顔を、
急に思い出した。
「頑張るから、頑張って勉強するから、私の事忘れないでね。」
そう言って、私の手を恥ずかしそうに恐る恐る握ってきた女の子。
「お姉ちゃん、俺、頑張って稼いで、将来自分で店出したら一番に知らせるから。」
私の目をじっと見つめたまま、その決意が揺るぎ無いものだと全身で伝えてくれた麺学校の生徒。
目の前にある事を、
ただ真面目にこなすだけでは、
頑張っている事にはならない。
知らず知らずのうちに、
人生に対して受身になってやしないだろうか?
真っ直ぐに、わき目も振らずに突き進む者を目の前にして、
何故、気後れし自分を恥ずかしく感じるのか。
全然だめだ。
まだまだだ。
中国で仲良くなった友達は皆、
私と出会って良かったと言う。
有り難い話だけど、
私はまだ、彼らとの出会いを活かせていない。
彼らの上を目指す為の手段を選ばぬ意志の強さと逞しさ。
物事を自分にとって有利に動かせる柔軟性。
私にはまだ足りない。
頑張れ。頑張れ。頑張れ。
もっと。もっと。もっと。
日本人の私を、心から信頼し想ってくれている彼らに、
負けないように。
泥まみれの小さな手が、
伝えてくれた大切な事。
必死に生きるのは
かっこ悪いって
誰が言った?
かっこ悪くなってみよう。
我武者羅に。
大人ぶるのはもうやめた。
Reading your story makes my heart warm, lady, I like the way you feel...and the way you express your thoughts.
いい話ですね。純粋な気持ち、一途な気持ちを受け止めるのって気恥ずかしいときがあるけど、それは自分が純粋でなくなったからかな?
今、日本における中国人のイメージって決してよい訳ではないけど、優しく心から接したい人が、中国にはまだたくさんいるんだということを知ってとても安心しました。
さて、いよいよ北京もオリンピックですね。日本も韓国も、オリンピックの開催を機に、国の流れが大きく変わりました。中国はどうでしょうか?どこに向かっていっても、優しい気持ちが残るといいですね。
人生を一所懸命に生きる、自分が一番中国に対して魅力を感じる所です。
彼らはなんとしても生きようとしている。
最後を読むと中島みゆきの『ファイト』を歌いたくなります。めちゃめちゃ好きな歌です。
人生、自分に嘘つかないで、格好つけて自分を曲げずに我武者羅に生きたい。
すずきさんあなたの生き方は格好良いです。
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